みなさまおはようございます。東京のプロ矯正歯科院長 田中憲男です。
お盆が終わったというのに、あいかわらずの熱帯夜続きですね!夜も暑さで睡眠不足になり気味のことと思います。
あいかわず熱中症騒ぎも所々でありますから、特に小さなお子様は脱水症状にはきおつけましょう。
さて、先週の症例は顎変形を見落としてしまった結果、治療期間が長くなってしまったとお話しました。
本日の症例は初診時からの顎変形(程度は少ないのですが)を診断できたおかげで治療にプラスに働いた症例です。
事前に顎の歪みを把握、非外科矯正治療に望んだ場合のポイントは?
初診時の年齢やかみ合わせの状態は、前回のブログとほとんど同じといえます。
上顎の正中がかなり左手側によってます。
その結果、上顎の小帯と前歯の真ん中の部分がかなりずれております。
小帯というものは歯の移動に伴って移動することもあるので、参考程度ですが、この部分でずれている場合は
ほぼ歯の位置もズレテイルと判断して問題ありません。
一方で、小帯の位置がずれていないのにもかかわらず、歯の位置がずれている場合もございます。
歯科用CTから合成した正面X線写真です
左右の黒丸印部分の高さが異なっているのがわかるとおもいます。
側面に角度を変えてみてみると
正面の画像と側面の画像を対比してみれば理解しやすいのですが、やはり黒丸印の部分の高さがかなりことなっております。
歯科用CTのすばらしい部分は画像をさまざまな角度で合成できる点です。
つぎは下側から描写してみると
左右の黒丸印の部分が顎の関節付近です。かなり左右に大きさの差があるのが理解できます。
また、正面の黒丸印ですが、この部分は上下の前歯の位置を顔面の真ん中と下顎の骨格の中心がわかります。
下顎のズレもかなり右手側にズレテイルことがわかります。
結論としては
この患者さんの場合、
上顎の真ん中のズレは歯の位置が原因に対して
下顎の真ん中のズレは顎そのものが右手側にズレテいることが原因となります。
事前にこのようなことがわかれば、診断時の患者さんの説明および治療計画についてもバリエーションが増えます。
完璧に左右対称にする場合は手術を伴った外科矯正が必要な場合もありますし、場合によっては上下の顎を分割する必要性があります。
しかしながら、顎が前後方向にずれていない患者さんの場合、正面からの左右差についてはそれほどまで気にしている人少なく、この程度のズレであれば手術までする必要はないと思います。
つまりは、そこまでする必要はないのですが、顎の骨に左右差があることで、最終的に上下の歯の真ん中が一致することは難しいという説明はできます。
また、一般的な症例に比べて多少治療期間が延びてしまうことも事前に説明できます。
なぜなら、上顎に生えている裏側の歯が原因で顎が強制的に右側に誘導されてしまっている場合も多く、
やはり、ここは上顎のみに矯正装置を装着して 機能的不正を除去した後、下顎の抜歯部位については再検討といった形が安全策ではないかと思います。
まずはここまで進めて再評価です
functional waxbite 法などといった診断法やX線上でのCO=CR重ね合わせといった方法もありますが、
治療中に下顎が後退する場合は本当に多いいです。
反対にいえば、結果はそこそこでいいので早く進めてくださいといったニーズの患者さんに対しては
そのような部分を省略して早くすすめることは可能です。
しかしながら、結果がそこそこになってしまうことを理解していただく必要があります。
結果に関しては、患者さんの要望は10人10色ですのでなんともいえませんが、私のような矯正専門医にて治療を希望される患者さんはデンタルIQの高い人が多いいきがします。
やはり、矯正治療は専門性が高いということを勉強されているわけですから、当然のことといえます。
したがって、この患者さんの場合は上顎のみに装置装着していた期間分だけ治療が長くかかりましたが、
それでも2年2ヶ月で装置ははずれました。
最終形態です
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