みなさまおはようございます。東京のプロ矯正歯科 院長 田中憲男です
新学期もはじまり、新しい生活が軌道にのってきましたか?
矯正歯科クリニックの場合は4月の新学期開始時期は新しい患者さんの予約も少なく、平穏な毎日でしたが、おちついてきた今週末あたりからはどんどん忙しくなってきました。
昨日も本日もそうですが、初診相談の患者さんはなるべく本人の希望通りの予約時間をおとりしないと無断キャンセルになる確率がぐっとあがります。これはきちんと統計をしていないので数値化できませんが、経験的に間違いありません。
ですから、通常予約どおりの患者さんの枠とは別枠で、初診相談を受け入れている時もございます。
案の定、昨日の夜は診療終了時間を大幅に超えてしまい、夜9時ころまでの診療となってしまいました。
スタッフには大変申し訳ありませんが、なんとか乗り越えていきたいとおもってます。
また、せっかく予約をとっていただいた患者さんの時間にもお待たせしてしまうこともあると思いますが、何卒よろしくお願いします。
さて、本日のテーマは
【裏側矯正装置】治療期間が長くなっても審美的な利点もあるとは?
過去にも何回か同じようなテーマでお話をさせていただいたことがあると思います。
無作為に抽出した症例を表側、裏側で治療検討した場合は、おそらく表側装置のほうが治療が有利な場合がおおいいです。
いろいろとあると思いますが、1番の理由は表側のほうが裏側よりも治療経験が豊富だから
と思います。
ですから、裏側矯正専門といったクリニックで治療を受けることは経験という意味では有利に働くと思います。
一方で、矯正歯科治療に限らず、歯科医師、外科医といった職業の場合は手先の器用さが要求されます。
最近、某国立大学での死亡事故が連続してありましたが、高学歴だからといって手先が器用かというとまったくの別物です。
また、一部の大学教授の場合は研究業績はすごいものをもっている反面、実際の臨床ではパッとしない場合も結構あります。
これからは、基礎研究の教授は研究業績 臨床系の教授は臨床業績といった分け方をしていったほうが患者さんのためになると思いますが、実際の現場では 研究>臨床>学生教育 といった順番に評価されてしまいます。
ちなみに私の場合はそこそこ器用なのですが、これには理由があります。
こどものころ野球少年だったのですが、ユニフォームが1着しかなかったこともあり、練習で破けてしまった時の修繕は自分でしなくてはいけませんでした。
ドロドロになったユニフォームを洗って乾燥した後に翌日までに縫い物(場合によってはミシンを使用)しての修繕です。
野球用のソックスも高額でしたから、親指に穴が開く程度であれば、自分で針糸で修繕をしておりました。
また、果物などは食べたければ自分で剥いて食べるのがあたりまえの家庭でした。
りんごでも梨でも包丁は動かさずに、りんごを回して皮を剥くということを小学校の時からしっており、実行しておりました。
すべては兄弟が4人もおりましたので、自分でできることは自分でするという育て方の恩恵です。
話がそれてしまいましたが、臨床のセンスという数字では評価されない部分も大切になってきます
結局、何がいいたいのかというと、
歯科矯正という現場全体で表側矯正をおこなっている医療機関は山の数ほどあります。
一方で裏側矯正治療を積極的におこなっている医療機関はごく一部です。
つまり、治療に対するノウハウといったものもあまり表にでてこないのです。
そこで、治療中にいろいろと困ったことに遭遇した場合、その解決方法として重要になってくるのが臨床のセンスになってきます。
治療をおこなっていく過程で、担当医には様々な困難があります。
その困難に対して1つ1つずつ、解決するための仮説をたて、実行し、評価するの繰り返しです。
うまくいってもうまくいかなくてもすべて自分の経験になります。
当院の場合は一般的な大人の矯正治療のうち、裏側矯正装置で治療を開始する割合は40%くらいあると思います。結構な頻度といっても良いでしょう。
ほかに裏側矯正装置の欠点としては
1:すべての歯に対して装置をセットできるのに時間がかかるため、ガタガタを改善するのに時間がかかる
2:上下の真ん中の線(中心線)を顔と一致させるのにとても時間がかかること
3:太いワイヤーが装着できるまで時間がかかることがおおいい
4:治療の最終段階で細かい隙間を閉鎖するのにとても時間がかかる
どちらの理由も装置をつける部分が裏側限定ということが治療のネックとなります
一方で利点もあります。
見えない、人からきずかれないといった審美的な利点は数多くあります。
今回は矯正歯科医師からの利点です。
すこし専門的な説明になってしまいますが、歯をうごかす場合は装置をつけた所が作用点になります。
裏側矯正装置の場合は作用点と重心が近いので、簡単に説明すると移動したい方向にワイヤー調整をすると、歯が素直に反応してくれます。
その結果、抜歯が必要な症例でも抜歯せず治療可能になる確率が高くなることもあります。
(歯列拡大が前後、左右比較的容易になるということです)
つまり、治療の当初のころは裏側矯正装置は表側装置にくらべるとモタモタしてしまいますが、一旦軌道にのってしまえば、表側よりもむしろ快適に治療をすすめることも可能となります。
それでは本日の症例です
よくこのような症例の場合、上のみで治療可能か?といった部分的矯正治療の相談をうけることが多いいのですが、部分矯正の場合は並べても咬み合わせが確立しないので、後戻りのリスクが高くなります。
治療手順としては上顎を拡大することを開始しました。
拡大後に裏側矯正装置を装着しました
前歯の部分に装置をつけていないところがあります。
もし、表側装置の場合でしたらどうでしょうか?
表からみると、今回装着できなかった前歯でも容易に装置をセットすることができそうです
結局、装置をつけていかないとなかなか並んではくれません。
つぎの症例です
表側なら簡単という言い方は勘違いされそうですね
つまり、このような症例の場合は問題点が数おおく、1つ1つ解決するための項目が沢山でてきます
治療開始1年程度経過したのですが、まだまだ前歯がならんでくれません
中心線の移動に時間がかかっております
一方で下の歯列は比較的順調です
本症例の場合は
上を表側
下を裏側
で治療させていただけていれば、あと数ヶ月で矯正装置撤去になっていたと思います。
実際のニーズでは
1:上下裏側
2:上裏、下表
3:上下表
という順番であり
上表 下裏
といった組み合わせで治療したことは1度もありません(笑)
本症例のつづきは次回にさせてください
もしも写真撮影していなければ、翌月に必ずUPします
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