みなさまおはようございます。
東京のプロ矯正歯科院長 田中憲男です
台風8号が関東上陸しないで本当に良かったですね!
じつは、昨日僕は関東上陸を予想していた1人でした。
そのため、朝4時過ぎに起床しTVを見たところ、伊豆に上陸とのことでしたので、始発のJRにて錦糸町まできました。結局は進路がそれて何事もなく一安心だったのでよかったですし、早起きは三文の徳というとおり、仕事がはかどりました。8月11日手術予定の患者さんの治療計画も立案し、まずは一安心でした。
一方で今日の地震ビックリしましたね~ 朝の4時40分ころでしたか、東京も結構揺れたので福島方面大丈夫?かと本当に心配しました。
結局、今朝も地震で起床したこともあり、早朝出勤です(笑)
地震 雷 火事 オヤジといった言葉並べがありますが、正にそういった1日になってしまいました。
昨日に続いての連続早朝出勤のため、急いで片付ける必要のある仕事もなく、ゆとりをもった1日ですので
本日のブログは矯正歯科医師の本音というテーマで書かせていただきます。
【矯正歯科医師の本音】治るかわからないで治療していることもある?
まず、医療というのは治って当たり前ということは絶対ありません。
患者さんにとっては病院にいけば治療が受けれますし、その結果症状が緩和するのが一般的です。
一般的な歯科の場合の主訴(主な訴え)は 痛い 歯が欠けた 口臭がする 歯石取りといった内容が主です
痛い場合は痛みを取れば主訴を改善できるのであれば、患部の歯を抜歯してしまえば大丈夫と思います。
歯が欠けた場合は差し歯もしくは入れ歯をいれれば問題ありません。
口臭の場合は原因がいろいろとありますが、まずは口の中を清潔にするという意味ではクリーニングです
上記のように、主訴を改善するという目的を達成するだけなら、なんとかなってしまいます。
一方で矯正歯科治療の場合はどうでしょうか?
歯並びを直したい
噛めるようになりたい
といった主訴になると思います。
矯正歯科医師は歯を動かすトレーニングを受けておりますが、100人いれば100通りの歯並びがあります。
そうなると当然起こってくることがあります。
それは、治療した経験のないような難しい症例に遭遇してしまいます。
ここは重要なポイントです。
たとえば、大学病院の場合はどんなに難しい症例の患者が来院されても、基本的には治療を断りません。
理由は
‟失敗しても治らなくても大学病院でベストを尽くした”
というプロセスがあればいいのです。
つまり、大学病院に勤務している先生は担当した患者さんの症例で自らの臨床経験値を向上させてもらっているのです
最終的な治療の責任は大学病院にありますので、担当医は治療途中で退職してもなんら問題ありません。
ですから、大学病院に長く勤務できるということは、自らの矯正臨床経験値をアップすることが可能な環境にいるということです。
それでは、大学病院に勤務しないで矯正臨床経験値をアップすることは可能でしょうか?
それを可能にするのは、セミナーや書籍を使って独学で学ぶといった手法になってきます。
また、学会等に参加することで間接的に他人の症例をシェアさせていただくのです。
しかしながら、人間必ず失敗というものはあります。
もしくは、失敗という表現が適切ではないのですが、100人いれば100通りの治療ゴールがあります。
つまり、初めの段階で患者さん個々の症例に対してどこまで治せるのかといった治療ゴールを十分に説明しないと、治療後のトラブルに発展しかねません。
矯正治療の場合、メリットだけでなく、デメリットも必ず存在します。
そういう意味でフェアなジャッジをしてもらうような医療機関を選択しないと、場合によってはババを引いてしまいます。
本日の症例は最近も掲載した症例ですが、私はきちんと治療する自身がない症例です。
このブログを初めて読んでいる読者もいると思いますので、簡単な自己紹介をさせていただくと。
大学卒業後に大学病院に10年間常勤医として勤務し、その間20件以上の一般歯科医院ならびに病院歯科での矯正歯科医師としての責任者を兼任 東京都墨田区錦糸町で開業し10年目を迎えました。
臨床経験は少なくみても初診からの症例が2000症例 大学などの治療途中からの引継ぎ症例は1000以上
これだけの経験があっても治せるかどうかわからない症例が存在します。
それでは本日の症例です
ここまでは一見普通ですが、横のかみ合わせをみてみましょう
正面のレントゲン写真をみると犬歯がもぐっております。(黒丸印部分)
ここまででも十分に難しい症例ですが、この時点では治療できる自身はありました。
もぐっている犬歯も含めて必要な歯を抜歯するように診断し、大学病院に抜歯依頼をしました。
ところが、2年間まったく音沙汰なしの未来院です。
矯正装置も作成しましたが、治療費用は1円も頂いておりません。
まれですが、こういう適当に考えている人は不幸な結果にしかなりません。
矯正治療の場合、抜歯して放置する ということは 最悪な結果しか生まれません。
2年後です
この写真は側面の写真ですが、初診時よりも悪化しております。
抜歯というのは、並べることが不可能な歯を抜歯して、現在よりも症状を緩和するといった目的もあります
本症例は抜歯してしまったので、これ以上の抜歯はできないのが普通です。
ですので、2年ぶりに再来院されたときに患者さんに対して治療を断りました。
他の医院にいってくださいと、自分には治療する自身がありませんと。
それでも患者さんは強く当院での治療を希望されました。おそらく、当院に来なかった2年間の間に複数の矯正歯科医院を受診されていると推察できます。
多分、どこにいっても断られたのだと思います。
抜歯済みでこの状態では、治療のゴールのイメージがわきません。
結論としては、最悪、この部分のかみ合っていない歯は治せない可能性があるということで了承を得ました。
つまり、見える部分だけきれいに並べれば、こちらとしての最低限の責任は果たせるということです。
そうはいっても、プロ矯正歯科としての看板をしょっている以上、なんとかしなければといった気持ちがあります。
つまり、大学病院時代と同様に 本症例を通して 臨床経験をアップさせていただく機会を得たということになります。
その後どうなったでしょう?
歯を抜歯した部分の横に小さいネジが入っております。これが矯正用アンカースクリュー(TAD)といいます。
これだけでは何も変化しないのですが、今後の治療経過をお楽しみにしてください。
本当に難しい症例ですが、当院の名前に恥じないようにがんばっていきたいと思います。
それでは今日も1日がんばりましょう!
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