みなさまおはようございます!東京のプロ矯正歯科院長 田中憲男です。
今週にはいってからすっかり冬になりましたね 朝晩は本当に冷え込みますが、日中はおだやかな陽気になりますね。
昨日は、昼休みの時間に墨田保健所(正式には墨田区保健センター)にいってきました。
理由は墨田区民の妊婦さんを対称とした講演をおこなってきました。
妊娠中、出産後の口腔ケアと栄養摂取についてだったのですが、最近の妊婦さんは本当に勉強熱心でして講演前に配ったアンケートにそれぞれが現在または将来について心配している事案を箇条書きにしていただいておりました。最近はインターネットが普及されてきたのが一番の理由と思いますが、妊娠に限らず歯列矯正治療でも良質な情報を得ることが可能になってきたのは事実です。
つまりは、患者さんの健康IQが非常に高くなってきたともいえます。
最近の歯科医療はとかくサービスを重視しがちですが、医療の質に対しても重視していきたいところです。
さて、時間もかぎられておりますので本日のテーマ
【外科矯正治療 期間】中高年者の矯正治療についての留意点とは?
外科矯正治療というと全身麻酔でおおがかりな手術といったイメージがあります。
実際、私が大学を卒業したおよそ20年前は本当におおがかりな手術でした。一方で現在は術式はほぼかわらないものの、骨を削ったり、固定する器材が発達したのと、学会等をつうじて医療機関同士で情報交換を継続してきた結果、出血量、手術時間ともに半分程度まですくなくなってきたのは事実です。
そうなると、従来までは歯周病や残っている歯の本数が少ない、またはこれ以上抜歯はしたくない等の理由で歯科矯正治療をあきらめかけていた中高年の不正咬合に対して、外科的矯正治療をおこなうことによって上記の問題を解決することが可能になってきました。
本日はその1例を供覧いたします。
丸印の部分の歯が欠損してしまっております。よこから咬み合わせをみてみると
ここで、すべての歯がそろっており、かつ歯周病の状況がコントロールされていれば、下顎の前歯を後方に移動して反対咬合を改善するといった方法もございます。
しかしながら、中高年の患者さんの場合、残っている歯数そのものが少なく、また残ってる歯のコンデイションもあまりよくありません。
歯列矯正で重要なことの1つに、治療して得られた結果が長期間に渡って維持することができること!
この点は非常に大切なことと思います。
矯正治療は抜歯をせず、
できるだけ歯の移動はおこなわない
咬み合わせの改善は外科的手法を用いて
といった治療目標でおこないました。
治療経過です
このように上下の歯を排列いたします。反対咬合の状態はかわりません。
いわゆる、手術前矯正です。
手術をおこないました。
これは手術後退院後すぐに撮影した咬み合わせです。
この段階では咬み合わせそのものは不十分であり、この後、6ヶ月~10ヶ月程度手術後矯正治療を行います。
装置がはずれた時に記録した写真です。正面からみると反対咬合が改善されております。
このようにかみあわせが改善された後に、歯がない部分にブリッジや差し歯をいれる治療をおこないます。
状況にもよりますが、一般的には矯正装置がはずれてから6ヶ月程度経過してから開始することがおおいいです。
治療後の状態です
このような状態が
と変化しました。
残るはホワイトニングで終了といったところです。(現在ホワイトニング中)
患者さんは治療開始年齢が51歳 現在年齢が55歳 足掛け4年という治療期間ですが、
もしも初診時の状態から矯正治療をしないで現在の年齢まで経過したことを想像すると大変なことになっていたと思います。
患者さんは口元にコンプレックスをもたれていていつもマスクをしていましたが、55歳からマスクをしない生活をすることができるようになりました。
これから小さな歯科治療ではいろいろと必要になることもあると思いますが、思い切って根本から改善したことによって将来の歯科的不安は一層されたはずです。
皆さんも決してネガテイブな考えにはならず、柔軟な思考で対応されてみたらどうでしょうか?
それでは1日がんばりましょう!
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