みなさまおはようございます。東京のプロ矯正歯科院長 田中憲男です。
今週は火曜から木曜まで日本臨床矯正歯科医会東京大会に発表そして参加してきました。
この会は歴史がとても古く、今年40周年を迎えた記念大会でありました。そのため、歯科医師の平均年齢も高く、当然歯列矯正のキャリアも豊富な先生方がたくさんおります。 びっくりしたことが、会員すべての矯正歯科医師としての平均キャリアが28年だったということです。ちなみに私のキャリアは今年が19年目ですので、この会のなかではまだまだ若手(笑)といえるでしょう。 それだけレベルの高い団体であることは明らかです。
また、木曜日17:00で大会が終了した後は東京駅に移動し、18:30~第11回 東京歯科大学顎変形症研究会に参加してきました。今回の講師の先生は東海大学医学部形成外科の准教授の先生だったこともあり、歯科とは異なった医科的アプローチを勉強させていただきました。やはり、口の中だけでなく、顔面すべてを把握し、分析をするといった手法は治療をするしないにかかわらず、知識としてもっていることは大切なことと再認識いたしました。
次は6月に開催される日本顎変形症学会に向けてがんばっていきたいと考えております。
さて、本日のテーマです
先天的に永久歯が生えてこない、本数が少ない場合の歯科矯正治療は?
最近、もともと永久歯の数が少ない人が増加してきました。おそらく10人に1人くらいはいると思います。
たとえば、私の甥っ子、姪っ子の総数が9人おりますが、そのうちの1人は永久歯の本数が少ないです。
永久歯の本数が少ない場合の対応としての私の考え方です
1:小児期より観察している場合はできるだけ隙間ができないように歯を動かして閉鎖する
2:大人の矯正治療で開始する場合は無理に抜歯をせず、そのまま歯として使用する
というのが最近の考え方になってきました。
以前は乳歯はいづれダメになるので、すべて抜歯をして隙間を閉じるといった方向性だったのですが、大人の矯正治療の場合、そのような無理をした結果、治療内容が不十分になることを経験しました。また、乳歯といっても手入れをきちんとすることによってそれ相応の期間使用可能なこともわかりました。それでは症例です。
今回の症例は治療前、治療中などは割愛させていただきました。そのかわりいろいろと症例を出すことで、こんなに沢山あるんだなあ?と認識していただければ幸いです。ちなみに、小児期に相当する1の症例はありません。なぜなら、1の場合は乳歯の抜歯の順序からいろいろと工夫することにより、素人の患者さんではどこを抜歯したのかわからないように治療してしまうから写真では説明のしようがありません。ですので今回は2:の大人の矯正治療で開始する場合の乳歯の対応です
この方の場合、丸印の場所に乳歯が残っておりますが、下には永久歯がありません。
しかしながら、反対側の永久歯の種はあり、生えてきております。
よこからみると歯が傾いてしまってます。
このような状況になっている場合は乳歯は保存せず抜歯の選択をしたほうが賢明です。その結果、反対側の永久歯も便宜的に抜歯をして左右対称に仕上げていくのがもっとも理想に近い方法といえます。
一方、もともとの乳歯が健康な場合はどうでしょうか?
この方のように、丸印は乳歯ですが、反対は永久歯といった場合、いままでならさきほどの症例と同じく左右抜歯といった対応をとっていくのが普通だったのですが、かみ合わせの関係上、下2本抜歯する結果、上2本も抜歯することの対応が必要になってしまうこともあります。
つまり、乳歯1本抜歯して隙間をふさぐために健康な永久歯を3本も抜歯してしまうこととなります。
一般的な抜歯をする理由としては
歯の正しい排列をする上で、抜歯をしないと不可能なために抜歯を選択するはずが、
乳歯の隙間を閉じるために他の健康な永久歯を3本も抜いてしまう選択をしてしまうのです。
これを聞いた読者はびっくりするかもしれませんが、少なくとも上記の選択はどちらも間違った選択ではないのです。つまり、答えがないのです。
ですので、19年という臨床経験から得られた結果、私の考え方は変化してきました。
乳歯でも歯であるなら、無理に抜歯をせずに使えるまで使う、もし後々だめになった場合はインプラント等で対応するほうが良い といった結論です。
このかたは40歳くらいですが、緑印は乳歯 赤印はインプラントです
同じ人の下顎ですが
緑印が乳歯 反対部分は印がありませんが、インラントです。
一気に歯列矯正とインプラント2本をやるとものすごい治療費用になってしまいますが、
歯列矯正をおこない、10年経過して乳歯1本がダメになったのでインプラントに変更 さらに10年後もう1本の乳歯がだめになりインプラントに変更といった流れになれば、乳歯でも永久歯と遜色ない使用期間といえます。
以前は乳歯は30歳でダメになると教科書にも書いてありましたが、最近は30歳をすぎて40歳になってもコンデイションの良い状態で乳歯を保存している症例もいくつかあります。
これらすべてに共通していることが、メンテナンスの大切さです。
定期点検は治療よりも重要と考えております。
それでは今日も1日がんばりましょう!
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