みなさまおはようございます。東京のプロ矯正歯科院長 田中憲男です。
いよいよ2012年も残りわずかとなりました。日頃ブログを読まれている患者さんたちならびに、新規にブログを読まれてる方もいらっしゃると思いますが、今日のブログは本年最後のブログとさせていただきます。
年末は本日まで診療、年始は5日土曜日から診療となっております。
本当に1年間ありがとうございました。そして来年はもっと飛躍した1年になるようにプロ矯正歯科は成長していきます。
今年1年のブログを読み返していただければわかるのですが、過去を振り返っても頑張った1年だったと思います。なぜそんなに頑張るかというと、患者さんのために頑張るといった答えをする人がいますが、僕はそうではありません。
なぜなら、タイトなスケジュールは時には家族との時間も犠牲にしていることもあります。お金のためでもありません。それではどうしてでしょうか?
答えは、プロ矯正歯科という診療所のネーミングに恥じない矯正臨床をしていくことにつきます。
振り返ってみれば、2005年10月のブログ なぜ、診療所名をプロ矯正歯科としたのか?を読んでいただきたいです。
本家である台湾のプロ矯正歯科からのれん分けをさせてもらった以上、ボスの曾先生ならびに親友の陳先生に少しでも追いつけるようにがんばっていかなければいけないのです。特に、陳先生は研修医から現在に至るまでベストフレンドで家族ぐるみの付き合いをさせていただいております。また、矯正臨床の分野の中でも、ハイリスクな歯周病や外科的矯正治療、歯が多数欠損している症例など、僕とカテゴリーが同じだったことは偶然の幸せでした。
つまり、陳先生と僕に共通していることは治療不可能なので申し訳ありません。といったことを極力少なくすることが自己目標であるといえます。
ですので、当院は患者さんに媚びを売ることもないですし、歯科なんて全国どこにでもあるといった人は他にいってもらえばよいわけです。自分のような伝統工芸的な職人気質の矯正歯科医師は大量生産できるわけでもありませんし、5年や10年やったくらいでものになるものでもありまえん。
そて前置きばかりになってしまいましたが、本日は症例を1つと、もう1つは本年度確立した当院の試みをお見せします。
【2012年を振り返り】当院の矯正治療レベルが進歩した部分とは?
まず、症例です。
患者さんは初診時年齢54歳女性、いつも手術をお願いしている病院からの紹介の方でした。
手術を依頼している医療機関から紹介されるのはなによりもうれしいことです。実際、54歳の女性の歯列矯正希望を受け入れる施設は当院くらいしかないのかもしれませんが(笑)片道1時間以上かけての来院でした。
前歯が反対です。
上の歯列もかなり左右非対称な状況です。
下も前歯が上にのびてしまってます。 長いあいだ反対のかみ合わせだと当たらない前歯は上にのびてくるのです。
よこからみてもひどいかみ合わせです。
患者さんは治るのかどうか半信半疑でした。
僕は、十分治療できる範囲と判断をし、(当院では60代でも矯正治療してます)当日矯正検査となりました。
ここまで来ると外科手術です。
手術1週間後、退院した直後です。
退院直後は顎が前にでてこないようにこのように上下の歯に輪ゴムをかけます。
いままでで輪ゴムをかけてくれない患者さんが1名だけおりましたが、案の定、顎が前に出てきてしまいました(泣)
みなさん、先生から指示があったときは輪ゴムはした方が良いと思います。
初診時は
終了時は
いまでも覚えているのですが、患者さんは初診来院時は上下スウェット姿でした。
ちなみに、保定時はきれいなお姉さんに変身してました。
矯正歯科医をやっていて本当に良かったと思えることは、治療により患者さんに外見だけでなく内面も磨くことに協力できることです。
つぎに、本年のプロ矯正歯科の飛躍したポイントの1例です
さきほどとは異なる症例なのですが、反対のかみ合わせに加えて、上下の歯の中心線が顔の中心線とずれております。
つまり、顔がゆがんでいるのです。
歪んでいるかみ合わせの人の多くは奥歯が欠損していたり、銀歯だったりすることがとても多いいです。
このような症状をもったひとの場合、従来の下顎を後方に下げるといった手術方法では不十分な結果に終わることがおおいいです。なぜなら、顎の変形が下顎のみならず上の顎にもおよんでいるからです。
CT画像に歯並びを重ねてみました。素人のみなさまにはわかりずらいと思いますが、歯科医師ならば顔のゆがみがあるのがわかると思います。
上の歯列からみた画像です
左右の歯の位置が頭の軸に対して左右非対称なのがわかると思います。
こうなると、上顎も下顎も手術することになります。どうやって骨を切るのでしょうかというと
正面からみて色がかわっている部分が骨を切断して動かす部分となります。
それをこのように移動していきます。
移動前の上からの画像です
移動後が赤で移動前がオレンジです。それらを重ねると
このように移動量がどのくらいになったか判明できます。
また、それぞれの骨の移動量もわかります。実現不可能な骨の移動もありません。
また、この移動に即した部分で位置決めをするワッファーというものをCADCAMで作成いたします。
パソコンを用いて1症例分析をして診断するのにに3時間程度時間がかかります。集中してやらないとミスがでますので、診療が終わった8時すぎからはじめて終わるのが11時すぎまでかかります。とても大変な作業です。
このPCソフトをマスターできる先生は日本には2名しかおりません。1名は私の友人であり師匠でもあり開発部門担当をしている、北海道の古谷先生です。
今はインターネットの環境が発達しているので北海道と東京をリモートアシスタントという機能を用いて支援してくれました。週末朝まで指導してもらったことが何日あったのかというと、10日以上はあったと思います。つまり、開発者みずからマンツーマンで僕に診断の技術をマスターさせていただいたのです。このソフトは私の母校をはじめとして多くの大学病院に導入されているのですが、イマイチ機能していません。なぜならば、ソフト操作がとても難しく、勤務している先生は自分で購入したわけではないので、そこまで使いこなそうと努力しないのです。はじめからそのソフトを使用しなくても従来の方法で治療は可能ですし、その結果治療の質が下がっても同じ人はいないので比べることはできません。質を比べることができるのは旧来の方法と最新の方法を両方使用したことがある人間のみなのです。
診断ソフトも数百万円もしますし、労力も本当に大変なのですが、診療所のプライドのためにがんばってます。ですからそんなに多くの患者さんは必要ではないのです。
これをおこなうことにより、確実に予知性の高い手術が可能になったことは事実です。
また、周囲の矯正歯科医院からも注目を集められるようになってきたのもまちがいありません。
ですので、来年の目標はこの手法を全国に広めていく(伝道していく)ことです。
最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
プロ矯正歯科 院長 田中憲男
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