みなさまこんにちは。東京のプロ矯正歯科院長 田中憲男です!
今日は昨日、御祝い事があって、お酒を飲んだため朝寝坊してしまいました(笑)
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昨日は母校の昭和大学矯正科教室の医局員送別会でした
送別会ですから、お別れ会みたいなものですので、
退職する先生は僕のように開業したり、
他のところに勤務医になったりと
それぞれの進路があると思います
昨日は僕の同級生も退職者の1人でした
なぜ、退職するのかというと、
4月1日から、他の歯科大学矯正教室に主任教授として赴任することになりました
同級生ではじめての教授ですし、ましてや、大学1年から6年まで同級生ですし
矯正科に入局しても10年間机を並べて生活してきた同期です
人、それぞれ考え方は違いますが、大学に長く残る以上は主任教授になりたいと思います
ましては、母校ではなく、他校の主任教授ですので、教授選挙のハードルは高かったはずです
そんな御祝い事だったこともあり、昨夜は飲み過ぎてしまいました(笑)
本日は昼休みを返上してブログ更新しています
タイトルどおり、プロ矯正歯科の上顎骨骨切り手術のシュミレーションです
※これは、下顎のみの手術の人にはほとんど役にたたないシュミレーションです
労力のわりに見返りがほとんどないので、下顎の手術の人はこれはおこなっていませんし
する必要もないと思います
それでは、まずは従来の方法で手術計画をたてます
もちろん、資料をもとに、分析と診断をおこないます
その上で、セファロメトリックプレデクションをおこないます
この患者さんの赤線が手術まえ、青線が手術後です
これだと、顔の正面がないので、ゆがみなでは一切わかりません
ほとんどの医療施設では手術計画はこれだけでおこないます
プロ矯正歯科ではこれをもとに、ドルフィンというソフトで計画をたてていきます
まずは歯科用cT撮影をしたDICOMデータを用意します
CT撮影のコストは2万円程度はかかるでしょう
これにカメラで撮影した顔写真を重ねます
CTは3次元なのに、カメラは2次元なので、カメラの3次元化も検討しているのですが、
歯科用の3次元カメラが本体価格210万円もするので、
さすがにカメラのためだけに210万円はきつすぎます(汗)
それを売りに来る営業もすごいと思います(笑)
本人が特定できないように顔写真の画像コントラストを落としていますが
実際はくっきりできます
ここまでは
CTのデータに顔写真データを重ねています
これに歯列データを重ねていきます
歯列データは高解像度の3次元スキャナーで読み取ります
コストは1症例で3万円くらいはかかります
3次元スキャナーはまだまだ高額ですね
いままでは患者さんの歯型をつかい、CT撮影していました
模型ですと、画像解像度が悪くなります
どうしても欲しかったので、昨年購入してしまいました
向かって左側が歯列を3次元スキャナーで取り込んでいる画像です
歯茎などの余分な部分をトリミングしてCTデータ上の歯と重ねていきます
こんな具合です
3次元重ねあわせですから、
それぞれの平面で画像が重なっているか確認します
赤色がスキャナーデータです
赤色の歯列がレントゲン上の歯列と重ねていきます
このように回転と、上下左右に0.25mm単位で移動できます
この重ねあわせが本当にしんどくて、1時間とかやる場合もありました
ソフトが進化してきたので、だいぶ楽になりましたけど、大変ですね
ここの部分をいい加減にやると、あとがすべておかしくなるので、
この作業は診療前の朝か診療後の夜にしかおこないません
上顎歯列と下顎歯列を重ねあわせしました
このように顔写真とCTデータと歯列データを重ねています
ここまでで、2時間くらいはかかります
つぎに顎の3D化です
レントゲンにつきもののアーチファクトを取り除いています
アーチファクトを取り除くと
このようにきれいになります
これを下顎もおこないます
そしていよいよ仮想手術です
上顎の骨切ラインをきめていきます
色が反転した部分が骨切です
下顎は左右あるので、左右おこないます
オトガイもする場合はこのようにおこないます
これからは計測です
解剖学的ポイントをプロットしていきます
赤いろの点がポイントです
小さい赤いろの点が骨のいたるところにあります
このあとは、顔の表面のポイントをプロっとしていきます
顔だしはできませんので、ここは省略します
つぎは計測です
このように数値化していきます
ここから、仮想手術をおこなっていき、
現実的に可能な範囲の顎の移動かどうか判断します
判断に迷う場合は外科医にメールして画像確認してもらいます
上顎の移動です
このようにおこなっていきます
移動データはエクセル出力も可能です
これが上顎手術まえと手術後の画像です
上顎の移動後にCADCAMスプリントを作成します
これがPC上で作成したCADCAMスプリントです
形の確認ができ、問題なければ、ファイルを圧縮して
スプリント作成業者にメールでおくります
CADCAMで作成するスプリントは上顎用です
下顎用のスプリントは噛み合わせが重要ですので、
従来の手作業で作成します
レントゲン分析をおこなって(数値化して)
ここまで作成すれば保険診療上はOKです
スプリント代金は数年前までは保険の単価がとても低く、5600円でした
つまり、患者負担分が1700円です
しかも何枚つくっても金額は1700円でした
業者には1枚30000円+消費税でした。
ここまでマイナスでしたので、なかなか普及しませんでした
今は、改定があり、1枚15000円程度(患者負担4500円)くらいにアップしました
上顎用と下顎用2枚作製すれば4500円×2枚=9000円です
技工代金も15000円くらいに安くなってきたので、ボチボチ普及してきました
ですから、僕がこれを作成している時間とcT撮影費用と3Dスキャナー費用をあわせると
10万円くらいの費用がかかるのです
たまに、初診相談の患者さんが
過去のブログなどをみて
シュミレーション希望される場合があります
そのような人には10万円かかりますと伝えています
これは、上顎を手術することを決断した患者さんに対して
自分が可能なかぎりベストを尽くしてあげようとの思いでおこなっているだけです
ソフトは全て英語ですので、
英語が苦手な方には操作はしんどいです
本日も最後までありがとうございました
それでは午後もがんばりましょう!
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