良いクリニックの選び方

本物の矯正専門医になるために、なぜ一般診療をおこなわないのか? 

みなさまこんにちは。東京のプロ矯正歯科院長 田中憲男です。
プロ矯正歯科の年始診療は6日からおこないます。
私自身は今年の正月は忙しくなりそうです。

理由は前回のブログでも記載しましたが、本年限りで大宮CTセンターを閉院しました。
借りていた建物を元の状態にもどす工事を現状回復工事といいます。

現状回復工事をおこなうためには、CT本体はもちろんのこと、机やいす、パソコンなどもすべて撤去しなければいけません。
引っ越すわけではなく、閉鎖ですから荷物を処分しなければならないのです。

一部は処分し、一部は錦糸町、一部は自宅へと分類してトラックに載せます。
その業務をすべて自分1人でおこなうので、結構ハードな雑用になりそうです。

8年間お世話になったCTセンターですし、最後は酒と塩を盛って成仏してあげようと思います。
とても高額なCT機器でしたが、毎月のリース費用の捻出はプロ矯正歯科からの収入では支払うことは不可能でした。

当時、歯科用CTの費用は3000万。
CTセンターの内装工事費用とあわせると4000万近い金額でした。
クリニックは開業3年目でお金はありません。

それでは、どうやって費用を捻出したのかというと、副業(アルバイト)をおこなっていたからです。
副業(アルバイト)の話に先立ち、まずは本題の矯正専門医になる道程について述べさせてください。

私が歯科大学を卒業した平成7年の当時は今よりも歯科医師数が6万人少ない時代でした。
歯科医師が多くなるといわれ続けていましたが、現場ではまだまだ就職の需要はありました。

自分自身、卒業したときの最初の1歩は大切と認識していたので、就職活動は日本全国(正確には東京~九州)訪問しました。
選択肢として候補に挙がったのは

1:一般開業医
2:大学病院口腔外科
3:総合病院口腔外科
4:大学病院矯正歯科
5:大学院に入り研究者となる

1~5の選択のうち1の開業医に関しては

大きな医療法人の開業医(支店がたくさんあるところ)
都会の開業医(東京や大阪など)
地方の開業医(田舎など)
僻地の開業医(島など)
などなど、たくさん見学に行きそしてそれぞれの院長面接を受けました。

ちなみに、面接にいった歯科医院すべてで内定をもらいました。
給与待遇も高額なところはかなりありました。
履歴書に特待生と記載しているだけで、こんなにも有利なんだなあと感じました。

次に迷ったのが、大学院に入って研究をするという選択でした。
しかしながら大学を卒業してさらに年間100万円程度の学費を4年間支払うということが自分自身の経済力では補えないと判断して断念しました。

大学病院に就職するならば、専門的なスキルということで、最後は口腔外科と矯正歯科でした。
まず、口腔外科は現在、神奈川歯科大口腔外科教授である、中村篤先生には学生時代からいろいろと面倒をみてもらいました。

中村先生曰く、顎変形症などの手術全般を責任者として執刀できるようになるのは最低でも10年は時間がかかると。
一方で、難しい抜歯や小手術であれば3年もいれば何でもできるようになるとのことでした。

執刀医を目指しているのであれば10年もしくはそれ以上の年月が必要とのことでしたので、当時の私はそんなに長い間修行をする忍耐力はありませんでした。
学業が他の人よりも優れているといっても、授業をきちんと聞いて、テスト前に勉強をしてといった当たり前のことをすれば事が足りますが、10年修行はさすがにきついです。

そして、最後は歯科矯正学という講座でした。
恥ずかしい話ですが、私は大学時代、歯列矯正治療費用がどのくらいなのか知りませんでした。

学問としては興味があったものの、治療費用という側面で歯科医療を考えたことがありませんでした。
それでは、なぜ歯科矯正学を専攻したかというと

就職のため、一般開業医の面接、見学にいくと、院長や理事長といったトップクラスの先生はすべて(4か所くらいですが)見学時に歯列矯正治療をおこなっていました。本当に偶然にもそうだったのです。
また、それぞれの理事長先生は歯列矯正治療ができることを非常に自慢されておりました。
ただし、理事長先生たちの歯列矯正治療は独学で学んだレベルでしたので、大学での先生と比較するとギコチナイ手際でした。

理事長先生との面接の際は、他の一般歯科医院も検討しているというよりも、大学の矯正歯科と返答した方が当たりが良いことがわかり、面接の際はいつも大学の矯正歯科と併願という形でお話しをしていました。結果的にはこの回答が一番でした。あれだけ内定をもらったのに、ことわりの連絡をした際、昭和大学矯正科に進むことを告げると何もトラブルもなく辞退できました。

当時の昭和大学の矯正科主任教授は福原達郎先生でした。

先生は、東京医科歯科大学助教授を経て、新潟大学開校時に教授となり、昭和大学開校時に教授となられた矯正学のエリート中のエリートでした。そんな教授でしたから、一般開業医の理事長クラスの先生であれば名前くらいはいっています。

次に、入局説明会に参加しました。新人医局説明会に参加された6年生の数は40名ほどでした。そこから入局試験を受験して合格した5ないし6名が入局を許されます。40名のうち昭和大の学生が15名ほど、残りの25名は他大学の学生でした。
狭き門でしたが、一般開業医の就職試験での合格率が100%だった私にとっては不合格のイメージを持つことはありませんでした。

当時の教授面接の時に志望動機を聞かれ、【就職のため、たくさんの一般歯科医院を見学しましたが、矯正学を学ぶのは大学病院で学ぶことが最速・最短の方法であることが理解できました】と自分の気持ちに正直に話をしました。

つまり、矯正学を学ぶのは大学病院で学ぶことが最速・最短の方法であることは当時も今も間違っていない原理原則なのです。

ここで振り返ってみると、一般開業医で歯列矯正治療をおこなったとしても大した経験数に至らないのに対して、大学病院の矯正科に勤務することで、症例数をシェアできることが利点でした。
自分で担当できる症例数は年間20人程度でしたが、病院には年間300人くらいの数の初診患者さんが来院されます。
つまり、年間300人の症例をとおして経験することが可能になります。
すくなくとも、研修医である期間は教授診断の見学はカリキュラムに組み込まれていますので、2年間で600症例の診断を見ることができます。

ところが、600人というとてつもない症例数を見学したとしても、実際に自分で経験できる症例数はほんの20名です。
2年間の研修医を終えてたったの20名しか経験できないのです。
この研修医を終了して、わずかな矯正経験をもとに一般歯科臨床にもどるか、さらに矯正専門医のスペシャリストとして専門医の道を歩むか人生の選択がまってます。
もともとは2年間の研修医で退職して就職活動をおこなう予定が、矯正歯科学の魅力にどっぷりとはまってしまい、さらに大学にて臨床を学ぶことを選択しました。

ちなみに、大学病院での給与は研修医の時は無給で反対に授業料を納めます。
また、研修医を終了した卒業3年目で社会保険に加入できればラッキーなのです。
当時で月給8万円の初任給でした。
つまり、給料のために働いているのではなく、自分磨きのために働いているのです。
人間として最も魅力的と言われている20歳から30歳までの数年間すべてを矯正学をいうことを学ぶために人生の時間を使うのです。

つまり、多くの矯正歯科の先生は一般歯科臨床ができないのではなく、やらないのです。
仮に一般歯科ができたとしても自分よりも上手な一般歯科の先生はたくさんおります。

次回のブログはCTセンターの借金をどのように返済していったのか?という内容で書かせていただきます。

本日も最後までありがとうございました。



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